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介護事業の実地指導・行政対応の実績

介護事業その他許認可事業の企業法務、行政対応 団野法律事務所 弁護士 団野克己
企業法務、行政対応といっても様々な分野があります。とりわけ介護サービス等の許認可事業は、厚生労働省の省令や大臣告示など、サービスの基準が法令で定められています。
介護サービスの分野では、法令遵守責任者を定めることが法令化されているなど、事業の運営に関し、厳重なしばりがあります。コンプライアンスは、事業者の基本的な義務ですが、複雑な法令を遵守するのは容易なことではありません。
当事務所では、企業法務の中核として、介護保険法の適用のある居宅介護サービス事業、地域密着型サービス事業、居宅介護支援事業など中心に、企業法務事業、全国各地で行政対応を行います。
介護・障害者・障害児の福祉サービス事業に対するサービス内容の紹介

【違法な実地指導から事業者を守る実践技術】

【監査対応サービスってなにをするのですか】

突然、行政の立入りか監査が開始されたとき、これからどうなるか予測して事業者の皆さんと話し合いながら適切な対応をコーディネートするサービスです。
監査ってなんでしょう。介護・障害者・障害児福祉サービス事業所に「監査」が開始されることがありますが、これは行政処分の危険信号です。というのは、形式的な運営指導とはちがい、監査は何らかの法令違反があると疑われているときに限って実査される法律に基づく調査だからです。
突然立ち入り監査があると事業所の皆さんは混乱したり不安を感じることがありますが、そのような場合でも、落ち着いて対応することが肝心です。行政が調査するのは法令違反の有無ですから、私たちは具体的な法令を自ら検証することにより、監査の成り行きの予測とその対応をすることができます。ただ関係法令が複雑です。ですから適用が予測される具体的な法令の条項を検証することが肝心ですが、それには専門家の支援が必要です。
早期の検証を怠ると事態はより悪化することがあります。情報提供者のいるケースでは行政庁は初日からピンポイントの情報収集を開始します。
情報提供が正しいとは限りませんので、重い不利益処分を回避できるケースもあるからです。
事例①から⑳のすべてにおいて監査が実施されていますが、監査の違法を争うケースはたいへん多く、事例①は事後的に処分の違法性を争い処分が軽減されています。 当事務所では、多くの実例を踏まえ、監査→聴聞→行政処分という標準的なプロセスを想定し、予測をたて、監査の開始直後から事件が落ち着くまで、事業者の皆さんとともに、法令違反の有無・程度を検証しその処方箋を提供するサービスを行います。

【聴聞ってどんなことができるのですか】

 聴聞手続とは、行政庁が指定取消し又は指定の効力停止を予定している案件の場合、事前の段階で、処分の名あて人である事業者から弁明等を聞く手続です。本来は、処分の発動の前に事業者の言い分をよく聞いたうえで処分の有無・程度を再検討をするのですが、現実は形骸化しており問題性が多い手続です。
行政庁は処分を急ぐ傾向があるうえ、事業所はなにをしてよいか知りませんのでほぼ100パーセント近く、予定どおりの処分がくだされていますが、とはいってもあきらめいのは早いです。当事務所では聴聞手続の代理人として行政庁の調査の違法や行政庁の法令適用違反を指摘することにより、処分の撤回または処分の軽減を獲得した例があります(事例①・事例⑤・事例⑳)。

【処分をうけてしまったのですが裁判でそれを取り消すことはできますか】

 処分を受けたあとにその処分の取り消しを求める訴えを処分取消訴訟といいます。処分に対する不服申し立ては2とおりあります。ひとつは行政不服審査法に基づく審査請求、他方は、行政事件訴訟法に基づく処分取消訴訟です。
取消訴訟は処分のあったことを知った日から一定期間内に限りそれを提起することができます。
処分を取り消す勝訴判決がなされて判決が確定すると、処分の時にさかのぼってその処分はなかったことになります。処分をした行政庁だけではなく関係する行政機関も取消し判決の判断り拘束を受けます。
現実的にみると取消しを求める事業所の勝訴の確率は10パーセント未満と低いのが現実です。ですから行政が気がつかない重要な争点を裁判で提起するとか、行政庁の認定をくつがえすことができる証拠があるときに提起ことが求められます。
裁判の途中で勝訴・敗訴の予測ができることから、裁判の途中で、行政庁が職権により処分を任意に取り消したケースがあります(事例⑬)。
【裁判の間にサービスの提供や公費の請求はできますか】
行政庁のした処分の効力を一定期間停止する「効力停止決定」という保全の裁判があります。執行停止決定をもらうことができれば、本案の判決があるときまで公費の請求を受けることができます。
ですから、それを活用して、裁判所に、指定取消処分の効力を停止してもらい、事業所のサービス提供及び公費請求を続けながら、その裁判を続けることも可能です(事例⑬⑭⒂)

【法令遵守】

 企業事業所、障害者・障害児サービス事業所は、常に様々な行政対応が必要となります。それらの事業は、厚生労働省の省令や大臣告示などに基づいて、サービスの基準が法令で定められています。コンプライアンスは事業者の基本的な義務ですが、行政から法律に基づく要請を、遵守することが重要です。
当事務所では、監査、聴聞、行政処分などの行政対応を企業法務の中核として位置付けています。運営主体が株式会社、合同会社、社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人など、営利・非営利問わず、事業者の皆様の行政対応に関する法務相談に全力で対応しています。

受付け地域

全国どこからでもご相談、行政対応可能です。北海道から鹿児島まで高齢者・児童福祉事業所等の顧問弁護士をしています。全国の行政と交渉、聴聞立会、行政訴訟対応いたします。

行政対応実績(2007年~2021年)

企業法務の実績(地区別)

ア 北海道・東北地方
事例① 監査の違法を指摘した事例。札幌市の事業者さんから地域密着型介護サービス事業所の指定取消・効力全部停止6か月の処分の聴聞手続の依頼を受け、代理人として聴聞に出頭し、かつ、地裁に対して差し止め訴訟の提起をした事案。予告なしの監査で、かつ、監査に関し介保48条1項その他の違反を指摘。指定取消等が撤回されて効力の全部停止3か月に見直しされました。
事例② 青森県の訪問介護事業所が、市から返還訴訟(民法703条)の提訴をされ対応した事案。
事例③ 福島県内の指定障害福祉サービス事業所から長期にわたる監査の途中でその対応の アドバイスの依頼を受けた事案。

イ 関東地方
事例④ 千葉県内の通所介護事業所が複数事業所のうち一部について指定取消処分をうけ、 連座制適用が問題となったケース。聴聞手続の代理人として出頭したのち、不利益処分を受けたため、処分取消訴訟を担当した事案。最終的に訴えの取り下げにより終了。
事例⑤ 川崎市内の地域密着型通所介護事業所か、市から指定取消処分を予告された事案。法令適用を疎明した結果、市が処分を撤回して終了(聴聞手続の廃止)した。
事例⑥ 群馬県内の放課後等デイサービスの監査対応。アドバイスのみで処分はなく終了。
事例⑦ 群馬県内の地域密着型通所介護の指定取消処分の取り消し訴訟を高裁から受任。法人役員個人の原告適格を主張し、高裁でそれが認められた事案。
事例⑧ 群馬県内の指定就労継続支援B型の事案。聴聞手続及び処分取消訴訟を受任。

ウ 中部地方
事例⑨ 愛知県内の障害福祉サービス事業。監査終了後、聴聞手続の前に事業廃止の届け出をした事案。指定取消処分相当だったが処分には至らず終了。
事例⑩ 岐阜県内の放課後等デイサービス。聴聞通知後に事業者の判断で事業廃止届出をしていた事案。事業廃止届けの時期が聴聞通知後であったため指定取消処分が可能かどうかが争点だった。

エ 関西
関西地区からは多数電話相談あり。訴訟に発展した事案は受任していない。
オ 中国・四国地方
事例⑪ 香川県の放課後等デイサービスの監査対応事件。人員基準違反により指定取消相当が予測されたが聴聞手続前に事業廃止届出により取消処分を回避したもの(ただし効力停止処分が発令された)。
事例⑫ 広島県の放課後等デイサービス。性的虐待について証拠との整合が問題となる事例。
カ 九州・沖縄地方
事例⑬ 佐賀県内の介護事業所。2006(平成18)年当時の旧連座制適用事案。執行停止決  定を得て、処分取消訴訟を遂行した。結果、2012(平成24)年、行政庁による指定取消処分の職権取消しにより事件終了。
事例⑭ 佐賀県内の地域密着型介護サービス事業所。徴収命令の取消訴訟を提起し、一部勝訴(判例時報)。
事例⑮ 佐賀県内の地域密着型介護サービス事業所(GH)。指定取り消し処分を受け、執行停止決定を受け、処分取消訴訟を遂行した。敗訴。
事例⑯ 佐賀県内の居玉介護支援事業所。破産清算手続きを受任。
事例⑰ 長崎県内の地域密着型介護サービス事業。執行停止決定を得て、処分取消訴訟を受任。敗訴。
事例⑱ 長崎県内の地域密着型介護サービス事業所その他。高額の過誤調整の支払い後に、算定要件を具備していたとして不当利得返還等の裁判を提起し、一審で一部勝訴。
事例⑲ 長崎県内の放課後等デイサービス。指定取消相当だったが早期の事業廃止届出により処分を回避した事例。
事例⑳ 熊本県内の地域密着型介護サービス事業(GH)。夜勤帯職員が利用者の虐待により死亡し刑事裁判で有罪判決を受けた事例。行政庁が指定取消しを求めと聴聞手続を開始したが、法人により組織的関与がないことを疎明して、聴聞後に効力停止におちついた事案。
おおむね以上のとおりですが他にも終結した事案や進行中の事案は多数あります。
自治体により処分の濃淡にかなり差異があります。これは経験したものであなければわからないのですが要注意です。

1企業法務の実績(裁判例)

ア 効力停止

佐賀市内にある某介護サービス事業所は、2008年10月頃、行政から、2009年3月末で、指定を取り消す処分を受けましたが、当事務所が関与して、2001年1月に行政処分の効力停止決定を得ました(行政事件訴訟法第4版に掲載)。事業を継続しながら訴訟を提起し、2012年に撤回させることができました(行政と勝訴的和解成立)。指定取消処分に係る効力停止決定は、佐賀地方裁判所(計3回)、長崎地方裁判所(1回)において、発令していただきました。

イ 職権による取消

佐世保市内にある認知症対応型グループホームは、行政から、指定取消処分と、介護報酬の返還命令を受けましたが、当事務所が関与してそれを争い、2018年2月、指定取消処分及び返還命令が職権で取り消されました(現第二次取消処分に関し係争中)。

2企業法務の実績(監査、聴聞手続)

行政が、実地指導、あるいは、監査と称して、事業所内に立ち入り調査をおこなうことがあります。これは、行政がおこなう情報収集活動ですが、特に、監査は、違法があるとの見込みで行政処分の資料を収集する行政調査ですから、強力です。仮に、虚偽の報告をおこなったり、監査の妨害ととれるような挙動をしますと、そけだけで、指定取消処分などの原因となってしまいます。
また、聴聞手続きは、指定取消処分など重大な不利益処分をおこなう際に、必ずとらないといけない手続ですが、事業者は、その意味を知りません。どのような聴聞手続きに対応してよいかわからないのです。監査や聴聞に立ち会った経験のある弁護士もほとんどいません。
当事務所では、2008年から、約11年間にわたり、監査や聴聞手続に対応してきた実績があります。対象地域は、佐世保市(処分行政庁佐世保市長、長崎県)、佐賀中部広域連(佐賀県)、杵藤地区広域市町村圏組合(処分行政庁同管理者、佐賀県)、千葉県に及びます。

3介護サービス事業等における企業法務の重要性

近時、高齢化に伴い、介護サービス事業を取り巻く環境整備がすすんでいます。厚生労働省は、人員、設備、運営に関する基準省令を策定し、平成24年からは、条例にゆだねましたが、基準省令がその基本形とされています。
また、連座制の規定を整備するなど、事業者に対する取り締まりをますます強化しています。障害者総合支援法における許認可事業、児童福祉法にける許認可事業も、同様に厚生労働所の管理が強化されています。企業法務の重要は増していますが、一方では、これら特殊分野に対応できる弁護士が少ないのが原状です。当事務所は、2008年の某介護サービス事業所事件にはじまり、その後、連続して、行政訴訟に取り組んでいます。全国各地で、同様な悩みをかかえている事業所がありましたら、どこにでも出かけていく所存です。九州内外にかかわらず、お気軽にご相談ください。
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