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お知らせ

連載「新型コロナウイルスと介護事業について2」
2020年04月22日

★財政難、人不足に介護保険事業の行き詰まり
2000年に介護保険法が施行されて今年で20年を迎えます。
今この介護保険法に基づく介護事業は、新型コロナウイルス以前からも行き詰まりが指摘されていました。介護保険事業が行き詰まる原因としては、大きくわけて2つのことがいわれています。
1つ目は、財政難です。介護保険は国民から介護保険料を徴収し、それを要介護要支援高齢者に対する介護給付の財源とする制度です。2000年に介護保険法がスタートした時点では、この介護保険の財政としては約3兆円前後が必要であるといわれていました。ところが、2020年になると、要介護高齢者又は要支援高齢者の増加に伴って、年間の保険給付を金銭に直すと10兆円に達したといわれています。
今後さらに要介護高齢者又は要支援高齢者が増加すると、現在の10兆円という財源が20兆円に達するといわれています。
財政難に対してどのように対処するのか、これが非常に困難なものになっています。

 2つ目は介護人材の不足です。高齢者の介護は、介護事業者にとってかなりの負担になっています。もともと介護保険法以前には、「在宅介護」といって家族が自分達の高齢者を直接介護するということが行われていましたが、それが非常に困難ということで「介護の社会化」ということが行われるようになりました。これは介護施設で専門の介護従事者が高齢者を介護する方式ですが、現実には介護従事者の数が不足しています。2025年には全国で30万人から40万人の介護人材が不足するといわれています。
そこで最近、外国人労働者を介護従事者に採用するという方式もとられていますが、十分ではありません。財政難及び介護人材の不足によって、介護保険事業が行き詰まるといわれていたときに、新型コロナウイルスの問題が発生しました。介護行政はこれまでの厳しい指導監督という方針から大きく転換を迫られます。

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