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「一般廃棄物処理の法制度と最高裁判決」 環整連講演より
2018年01月10日

はじめに

本稿は、昨年の全国環境整備事業協同組合連合会大会基調講演テーマ「最高裁判決」と題する講演内容を一部加筆したものです。

対象は,主に,し尿収集運搬事業をおこなう事業者の皆さんや,地方公共団体の関連職員,そして,興味関心をもたれている議員のみなさんです。

1 3つの最高裁判決

今日は、主に三つの最高裁判決についてお話しします。一つは伊万里市の事件(以下「伊万里市事件」といいます。)。あと二つは小浜市の事件(以下「小浜市事件」)と,松任市の最高裁判決(以下「松任市事件」といいます。)です。

伊万里市事件は,地裁の判決を高裁で逆転し,上告が棄却されたものですが,小浜事件と松任市事件は,地最と高裁の判決を最高裁が取り消したものです。これらは,一般廃棄物処理業の行政実務に多大な影響を与える判決だと考えています。

2 伊万里市事件

私が,伊万里市の事件について関与した訴訟の経過、結果をまず最初に概括的にお話したいと思います。

伊万里市事件というのは住民訴訟という形で起こりました。

伊万里市は,佐賀県西部にある古い町ですが、そこで廃棄物処理法7条の許可をもらって、営業しているし尿収集運搬業者がありました。

この会社は、昭和50年にできました合特法(正式名称は「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」)に基づく代替業務の提供を伊万里市から受けていましたが、伊万里市との間で,代替業務に関する随意契約の方式で契約していました。

この随意契約という方式について、伊万里市の住民が「随意契約というのは地方自治法の競争入札の原則に反するのではないか」という問題を提起し、住民訴訟を起こしたものです。

注意点としては、住民訴訟という形式で起きましたが、その実質はちがうことです。

当時,伊万里市で,公共施設の浄化槽関連工事について,新規参入を計画していた業者が,すでに廃棄物処理法7条の許可業者(以下「既存業者」といいます。)に対し,その新規参入を目的とした事件だったのです。

新規参入を計画していた業者は、浄化槽管理士の資格を持っていました。県は浄化槽関係の許可を出しましたが、当時の伊万里市の公共施設の浄化槽関係の工事は、すべて既存業者への合特法の代替業務ということで、随意契約の方式を採用していました。

随意契約の場合、競争入札は行われません。

そこで,その業者は,新規参入の道がないとのことで、住民訴訟の形式を利用して,随意契約の方式の違法を争点とする裁判を起こしたわけです。

考えてみれば,このように新規参入をしたいという業者が訴訟を起こす形態はいろいろあります。

例えば、随意契約の無効確認訴訟でもいいですし、入札参加の資格確認の訴えなどいろいろなことは法律上考えられます。

伊万里市事件の場合、その原告は,伊万里市の住民であったということで住民訴訟を選択したわけです。

おそらくその背景には,オンブズマン活動をされている弁護士さんのアドバイスとかいろんなものがあったのだろうと想像できます。

このように,住民訴訟ではありますが、新規参入を計画していた新規業者と既存業者との争いがあっているという点では、あと二つの小浜市事件,松任市とも共通するところがあります。

配布されている資料をご覧になった方はお分かりかと思いますが、この随意契約が違法なやり方だということを住民訴訟で起こす場合、テーマは二つです。

3 伊万里市事件における住民側の請求

一つは,随意契約の方式で代替業務の提供を行うことが違法か適法か、地方自治法の予定している競争入札の原則に反するかどうかです。

もう一つは,伊万里市の市長に対する損害賠償請求でした。住民側の言い分は,仮に,競争入札を実施していれば,随意契約の価格より低い価格で落札したはずであって、随意契約でやっているがために,差額分を市が損害を受けたという構成です。

伊万里市事件の場合,住民訴訟において,当時の市長(現役の市長ですが)に対する2千万円を超える損害賠償請求が起きた次第です。

結論から先に言いますと、一審の佐賀地裁は住民側を勝訴させました。全面勝訴ではなく一部勝訴ですが、随意契約の大半は,地方自治法の競争入札の原則に違反する、無効であるというものです。もう1つは市長に対する損害賠償請求の一部を認め,106万円を市長が市に返還しなさいという内容の判決をしたのです。

4 補助参加

私は,第一審には関与しておりません。と言いますのは、私の顧問先ですが伊万里の会社が随時契約の相手方、つまり廃棄物処理法7条の許可業者です。いわゆる既存業者にあたります。

実は,この会社は一審では,被告にも何もなっていなかったので,第一審は傍観していただけだったのですが、伊万里市が,一審に負けたということで,伊万里市の方から控訴するから参加してくれという申出があったようです。

この会社(既存業者)が,高裁から,伊万里市に補助参加をしたものです。補助参加というのは,わかりやすくいうと,助っ人としての参加になるわけです。伊万里市のためにいろいろ訴訟活動をやることです。

以下目次

5 伊万里市事件第一審は,なぜ負けたのか

6 随意契約の例外

7 福岡高裁の判断

8 随意契約の方式とすることに問題がないこと

9 浄化槽法との関係

10 小浜事件と伊万里市事件

11 計画行政

12 特許的許可

13 小浜市事件

14 通知は法令ではないが

15 行政の安易な処理は国家賠償の対象

16 合特法の再検討

このようにいろんな判決を見ますと、伊万里市事件で特に問題になった合特法というものを,もう1度考え直す必要があると思います。

「合特法」は,「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」というふうに非常に長い名前です。

私は,伊万里市判決を振り返って今反省してる点があります。それは、下水廃棄物処理法は届け出制度ですが、事業廃止届け出は,むやみやたらに濫発はできません。(中略)

合特法というのは名称が適切ではないと思いますが,経営安定法の1つですから,代替業務の提供は,随意契約が当然思います。代替業務を、例えば競争入札で落とそうということは合特法の趣旨に反すのです。

もし、この講演記録が欲しい方は、住所、氏名、職業、必要部数を明記の上、574円分の切手(82円×7枚)と送料分の140円切手1枚を
840-0816 佐賀市駅南本町5-5 サンシャインM2階 団野法律事務所まで送っていただくか、

または、s.remiremi2012@gmail.comにメールで住所、氏名、職業、必要部数を明記して送付後、下記の口座に700円を送金していただければ、講演録をお届け致します。

福岡銀行 佐賀支店 普通預金
口座番号 1163544
名義人  團野 克己 (ダンノ カツミ)

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