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お知らせ

佐賀からの声明
2014年04月17日

生活保護引下げ訴訟弁護団 団長 団野克己

 

1. 国は,生活保護基準を3段階で引き下げる。これは2012年8月10日社会保障制度改革推進法が成立し,その附則で生活保護の給付基準の「適正化」が明記され,「適正化」という大義名分のもと,生活保護受給者が,国から切り捨てのターゲットにされたものである。
国は,国家予算670億円の引き下げを目的として,生活保護世帯の96%,200万人以上の生活保護受給者の受給額を減少するという。これは過去に例をみない最大の引き下げである。この基準引き下げは,2013年8月1日,2014年4月1日,2015年4月1日の3段階に分けて行われ,引き下げ幅は3段階合計で最大10%に及ぶ。

2. 今回の基準額引き下げは,生活保護受給者の生活実態を踏まえず,さらなる困窮を強いるものである。生活保護受給者は,これまでも文化的な生活とは言い難い低い水準での生活を強いられてきた。平成25年8月1日の基準引き下げ後,佐賀県内でも,バス代が払えずに病院の通院回数が減った,野草を食べて生活している,風呂の回数を減らしたという保護受給者が生じている。国は,今回の引き下げにあたり,一般低所得者の消費実態を調査・検証したとするが,その調査・検証方法は,専門家の意見を踏まえず,恣意的なデータ選択・算定方法を用いたものである。国による生活保護受給者の生活実態の検証には,著しい不備がある。
それに追い打ちをかけるように消費税増税がはじまるが,国は,見かけ上は生活保護基準引き下げが目立たないようにした。国は,生活保護基準を引き下げたのちに,消費税増税に応じた一律2.9%の基準引き上げをおこなうからだ。しかし,今回の第2段階の引き下げがなければ,消費税増税に伴う一律2.9%の引き下げがなかったかのような錯覚を覚える人もいるかも知れないが,だまされてはいけない。
今回の,生活保護基準引き下げは,生活保護受給者の生活実態を無視したものであり,憲法25条に反するもので許されない。

3. 生活保護基準の引き下げは,国家の単なる一政策のとどまらない。生活保護基準を引き下げれば,最低賃金などをはじめとする労働条件にも大きな影響が及ぶ。地方税の非課税基準,介護保険の保険料・利用料や障害者自立支援法による利用料の減額基準,就学援助の給付対象などにも連動してくる。このように社会保障給付を引き下げ,制限していくことは,さらなる貧困スパイラルを招く。
佐賀新聞(2014年3月10日朝刊)によれば,佐賀県内の15市町において,就学援助と生活保護費とを連動させていて,その9市町が,生活保護基準の引き下げの伴い,認定額を下げる。これまで,援助を受けてきた生活保護世帯だけではなく,市長が独自に支給してきた世帯まで所得基準が厳しくなるという。
生活保護基準の引き下げが,国民生活にさまざまな悪影響を及ぼすことを国民自身が気づくべきだ。

4. 第1段階の基準引き下げの際,これに反対する審査請求人の数は,全国で1万人を超えた。第2段階の引き下げでは,この良識の輪を広げる必要がある。
2014年2月25日,生活保護基準の引き下げに反対する原告14名が,佐賀地方裁判所に,引き下げ処分の取消しを求めて,集団提訴に踏み切った。
わたしたちは,今回の基準引き下げ処分が,生活保護受給者に対する権利侵害であること,国の裁量逸脱があることを明らかにしていくが,さらに,この集団提訴を契機として,様々な立場の人々と協働して,憲法の保障する『健康で文化的な最低限度の生活』にふさわしい生存権保障のあり方を探求する取り組みを行っていく所存である。

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